「Apartment鶉(じゅん)」
都市の真っただ中に建つ、
自然にあふれた木造集合住宅

オーナーは、例に違わずに、住宅展示場で、賃貸アパートを見学され、各メーカーが出す案を受け取りました。

しかし、いろんなメーカーの案に気に入るものがなく、途方に暮れていたところ、ある雑誌で私が設計したアパートを見て、これ!と思われ、その建物を実際に見学した上で、設計を依頼されました。

 

 出来上がった建物は、ハウスメーカーが作るものとはまるで違う集合住宅になりました。都市のど真ん中にあるにもかかわらず、中庭には水連の花が咲くビオトーブの池があり、池の淵にはしだれ桜が咲き、ビオトーブの池で育ったギンヤンマやオニヤンマがスーッと横切る。また敷地のいたるところで、季節に応じて種々の花が咲き、しかも建物は優しさのある木造で、訪れた人は、思わずこのようなところに住みたいなー、と言わせる思わせるアパートだ。

そんな集合住宅だから家賃設定も周辺より高い。しかし、アパート経営にとって空室が出るのが最も痛いことなのだが、空室もほとんどない。

もちろん、このような作りの賃貸集合住宅だから建設費が安いわけではない。しかしその分、より多くの家賃収入を得ることが得られれば、何の問題はない。これからの集合住宅経営は、魅力のある建物でないと、賃貸集合住宅としての競争力がないのだ。

また、オーナーにとって、このような賃貸住宅を所有することは誇りでもあるし、地域の環境にも貢献する。

 賃貸住宅の経営はこれから難しくなると言われています。そのような時代の中にあって、質の高いデザイン性に優れた集合住宅だけが生き残ることができるのです。

 

・小さな工務店と職人集団で作る

建設工事を請け負ったのは小さな工務店と、その下請けの職人さんたちです。 この建物はオーナーの屋敷の建替えで、以前の屋敷にあった御影石や瓦、燈篭、板材、欄間など捨てるにはもったいないものが沢山あり、再利用しました。そのようなマメな仕事は小さな工務店だからできたことです。生き生きとした職人さんたちによってつくられた建物には、なにか魂のようなものが宿ってはいないでしょうか。

さらに、この建物には自然素材が多用されています。自然素材は職人さんの手によって始めて扱うことができもので、小さな工務店、職人集団によって作ることができます。

建築事例概要

所在地
東京都豊島区目白
用途
集合住宅
構造
木造
規模
地上2階
延べ床面積
1197㎡

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