「城山みどり幼稚園」
～Shiroyama midori kindergarten～

S52年築鉄筋コンクリート造の園舎の耐震診断を経て耐震改修を行うこととなった。敷地の全体計画を再確認する中、既存の園庭に少しせり出していた平屋建の保育室園舎をなくし、このスペース分を既存園舎と一体化して増築することで、これまで小規模でしかとれていなかった園庭(運動場)のトラック形状が最大限確保できた。かつ園舎と遊戯室を屋根のある回廊でつなぐことで園児の動きも天候に左右されず円滑になることから、改修に加え新たに増築も同時に行うこととなった。ただ増築部分は既存の鉄筋コンクリート造には干渉しない構造設計が求められるため、その施工方法や既存建築物との取り合い等の検証はかなり詳細に行う必要があり、また仮設園舎により園庭が使えない中、工期を限定しての施工が必要で関係各所の協力と連携は非常に重要なポイントであった。

園舎は耐震改修に伴い内装や主たるサッシ等がほぼ入れ替えとなるため、この機会に床材は無垢のパイン材、温水式床暖房の導入、特に園庭に面した保育室の開口部は幅広く開口可能な木製サッシ、園庭との間に半屋外空間であるデッキスペースを確保して、園庭含めた開放感を得つつより園児たちが活発に園庭に出やすい仕掛けとしている。構造は主が鉄筋コンクリート、及び鉄骨造ではあるものの、園児たちの馴染みやすい本物の木材を内外装共に多用することでより豊かで活力のある空間となることを期待している。