「蛍遊苑 長府製作所記念館」
城下町に建つ企業の記念館

この建物は企業の記念館で、建設地は下関市の長府。長府は城下町の面影を残す武家屋敷や土塀が数多く残り,景観を尊重したデザインが求められ、企業の歴史や街についての展示室,茶室や会議室,多目的ホールなどの他,喫茶店,日本庭園を設けています。

 

流通材で大空間を作る

この建物の見どころは多目的ホールで12mのスパンがあります.幅4寸の流通材のスギ材で、構造は束を介し樹状に開きながら力を分散させ、水平力も対抗できるアーチ構造とすることで、小径木でも大空間を作っています.

 

職人問題に挑む

写真のような複雑で大量の加工を限られた時間の中で作り上げました。それはコンピューターと3次元プレカットが連動した加工機よるところが大きく、現代の職人人口や技術衰退の問題を考え、これからの新たしい作り方を提案しています.まさしく現代ならではの木造です。このような最先端の加工技術を利用しながらも、歴史的景観にできるだけ寄り添ったデザインとし、木造平屋、瓦ぶき、外壁は漆喰風左官仕上げ、また板塀や土塀で敷地を囲っています。

 

地元の工務店と作る

なおこの建物は、設計者である私と地元の工務店がタッグを組み、プロポーザルコンペで仕事を勝ち取って作ったものです。工務店は木造にも明るい地域密着型の工務店で、地域の職人の手で、地域の材料を使って作ったものです。

また設計には一流の構造設計者や防耐火技術者の協力を得、また最先端のプレカット会社を工務店に紹介することで作られた記念館です。

 

記念館や美術館などの施設には高い芸術性と技術が求められます。

是非、このような建物を地域の工務店、職人の皆さんと共に作ってみたいと思います。

建築事例概要

所在地
山口県下関市長府侍町
用途
企業記念館
構造
木造(樹状構造・アーチ構造)
規模
地上1階
延べ床面積
854.90㎡

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